金パラ「逆ザヤ」解消と価格改定制度の抜本的な改善を求める

2021年2月10日
千葉県保険医協会
会長 岡野 久
保険部長 石毛 清雄


 1月27日、中医協総会は歯科鋳造用金銀パラジウム合金(以下「金パラ」)の「随時改定Ⅰ」の実施を確認し、4月1日以降の金パラの告示価格は1g2,668円に決定された。現行価格の2,450円から218円の引き上げとなるものの、実勢価格と告示価格の間に生じる「逆ザヤ」の根本的な解決にはならない。
 2018年夏から値上がりを始めた金パラ価格は、その後も高騰を続け、長期にわたり歯科医院を「逆ザヤ」問題で苦しめてきた。
 全国保険医団体連合会が実施した「金パラ『逆ザヤ』シミュレータ」の千葉県分の平均購入価格(カッコ内は告示価格との差)は、2020年1月2,544円(▲869)、2月2,737円(▲1,062)、3月2,532円(▲857)、4月2,774円(▲691)、5月2,607円(▲285)、6月2,602円(▲282)、7月2,665円(▲3)、8月2,798円(▲136)、9月2,854円(▲192)、10月2,878円(▲428)となっており、その後も2,800円から2,900円の間で推移していると推測される。
 2020年3月の中医協で随時改定Ⅱの導入が決定され、2020年7月には改定が実施されたものの、実勢価格と告示価格の乖離がほぼ解消されたのは上記のとおり7月のみである。2020年1月から10月までの「逆ザヤ」を平均すると1gで528円、30gで15,840円もの乖離が生じていることになる。告示価格を素材価格からの推計で算出している限り、実勢価格を下回る傾向が強いことがこの調査からも明らかである。
 また、7月改定に係る参照期間である1月から3月の平均よりも、10月改定に係る参照期間の4月から6月の平均のほうが高いにもかかわらず、2020年10月はマイナス改定が行われたことになる。これらは現行の基準材料価格改定および随時改定の仕組みの中で発生する「タイムラグ」で説明がつくものではない。当会は、告示価格の改定にあたっては素材価格からの推計ではなく、合金の実勢価格を調査し、その結果を告示価格に反映することを求める。
 さらに1月13日の中医協では、14カラット金合金の価格計算に誤りがあったことが公表された。多くの歯科医師が長期にわたる金パラの「逆ザヤ」問題により、歯科用貴金属の価格決定の根拠に不信感を抱いている中での失態であり、現行の価格改定制度への信頼はますます揺らいでいる。
 厚労省はこの間、基準材料価格改定時に実施している特定保険医療材料価格調査の結果を非公表としてきた。現行の価格改定制度に対する信頼を取り戻すためにも、価格決定に関するデータやプロセスをすべて公表すべきである。また、「逆ザヤ」問題を早急に解決すべく、告示価格と実勢価格の乖離の実態を速やかに検証し、抜本的な制度改善を行うよう強く求める。