千葉県保険医新聞7月10日号(第601号)

研究会要旨:佐々木脩浩(勝田台歯科医院院長:八千代市開業)

はじめに
 開業して31年が経過したが、開業当初は自発痛、抜髄、そして補綴処置の必要に迫られてから当医院を来院するという従来のシステムであったのだが、必要に迫られなくとも定期的に来院するようになった。すべての患者の口腔の健康状態のチェックをしてもらうことによって(赤染め総患者数は約40万人)、患者自身も健康維持に必要な管理を生活の一部に組み込むようになっていき、医師と患者との良好な関係を築くことができるようになった(規格性の高い口腔内写真は約70万枚)。その結果、定期患者(現在、62%)が増えてきた。
 そして、それに伴い、インプラント治療を希望する患者は増加傾向にある。しかしツーピースインプラントに対する生存率に関する報告は多数報告されているが、HA-Coatedワンピースインプラントの生存率に関する報告はほとんど認められない。今回、HA-Coatedインプラント(特にAQBインプラント)を中心にこれを検討し、その概要を報告したい。

対象患者
 対象患者は2006年3月~2009年3月に来院した85人で行った。2症例を除きインプラントはすべて表面が粗造に処理したものを使用した。また、D4骨に対してはボーンスプレッダーのみで、D3骨にはドリルとボーンスプレッダーの併用で、D1,D2骨にはドリルのみでドリリングを行った。なお、85人に対して、1)性別、2)年齢、3)埋入部位、4)インプラントの種類、5)インプラントの直径、6)インプラントの幅径、7)骨質(Mischの分類)、8)プラークインデックス、9)唾液中の歯周病原菌(PCR Invader法)の調査、10)インプラントの生存率について検討を行った。ただし、患者の死亡や経過観察を行えなかった症例は除外した。なお、本調査は診療録および管理ソフト【浅野デンタルソリューション(弥生デンタル、旧Livedoorデンタル)】を基にして、2012年8月から2013年8月までの期間行った。

結果
 患者は女性67例、男性18例の計85名で、年齢は40歳から88歳であり、女性の平均が65.8歳、男性は69.1歳であった。埋入本数は上顎が122本、下顎が94本の計216本であった。インプラントの種類はアドバンス社のAQBインプラントを159本(73.6%)と最も多く使用し、デンツプライIH株式会社(旧ASTRA TECH社)のインプラントを25本(11.6%)、 Nobel Biocare社のTapered Groovy+MK3を28本(13.0%)、プラトンジャパンのプラトンインプラントを2本、ブレーン・ベース社のArrowインプラントを2本用いた。長径は10㎜未満が144本(66.7%)と最も多く、幅径は5㎜未満が194本(89.8%)と最も多かった。脱落したインプラントの幅径はすべて4㎜で、長径は1本を除き10㎜以下であり、またすべてAQBインプラントであった。埋入および植立部位の骨質はD3が104本、D2が99本、D1が9本、D4が4本であった。埋入したAQBインプラントのうち、8本が自然脱落、2本が撤去され(図3)、その内訳は再埋入が6人で7本(図1,2)、Brに移行したものが2人で(図3)、1本は再埋入予定である。生存率は95.4%であった。尚、インプラント脱落および撤去した患者のプラークインデックスの平均は49.2%で、除去しなかった75人のプラークインデックスの平均は13.2%であった(図4)。唾液中の歯周病原菌におけるP.gおよびT.fの平均はインプラント脱落患者では0.17%で、定期的に来院している患者で0.05%であった(図5)。尚、脱落および撤去した部位の骨質はD3が8本、D2が2本、D1,D4ともに0本であった。

結論および考察
 今回の調査ではインプラント生存率は95.4%であり、多くの研究者と類似した結果になった。また今回、脱落したインプラントはほとんど10㎜未満のショートインプラントであった。さらに、治療した後に全く来院されなかった不定期の患者であり、プラークスコアが49.2%であった。定期的に来院している患者のそれは13.2%であった。このことからインプラント治療は口腔衛生指導が重要であることが明らかになった。今後もさらなる長期間の追跡調査および管理を行う必要があると思われる。

以上