千葉県保険医新聞2016年3月10日号(第616号)

海匝香取支部:「第2の言語」を汲み取る-医療安全管理研修会開く

 海匝香取支部は2月17日、ホテルサンモールで第一三共株式会社・木村稔氏を講師に招き、「認知症の人への理解と対応」をテーマに医療安全管理研修会を開いた。当日は28医療機関から56人が参加した。



 開会に先立ち、鴇田純一海匝香取支部長が挨拶と講師略歴の紹介を行い、研修会を始めた。
 木村氏は、主に認知症の人の特徴と対応、認知症症状の特徴と理解、認知症の人への看護の3点について話した。医療・介護における認知症の人への対応方法については、受付や待合室での対応事例を映像でも示し、紹介した。また、認知症の行動・心理症状(BPSD)についても説明。BPSDは、認知症の人の「第2の言語」であり、そこに意思や真のニードが存在すると話し、行動の裏にある真のメッセージを汲み取る努力をし、言葉や行動で訴えているその「時」に向き合っていくことが大切であると強調した。加えて「説得(わからせる)」よりも「納得(自身でわかる)」を図ることが大事であるとし、そのためのアプローチ方法も紹介した。最後に看護・介護する際のポイントとして「本人への笑顔での声かけ」、「自尊心や家族への配慮」、「本人の心情の理解」の3つを示し、終了した。
 参加者からは「受付で保険証を返したが、返してもらっていないと言われた場合の対応はどうしたらいいか」などの質問が出された。また、ご協力頂いたアンケートには「業務優先の過剰な介助や介護、認知症の人への看護についてのお話が特に印象に残った」、「認知症の人への対応は理解しているものの、実際にはどのように行動したらいいか、助言が欲しい」など多くの感想や要望が寄せられた。

【お知らせ~千葉県の認知症疾患医療センターについて~】
 千葉県では、地域における認知症に対して進行予防から地域生活の維持まで必要な医療を提供できる機能体制の構築を図るため、鑑別診断、周辺症状と身体合併症に対する急性期治療、専門医療相談等を実施するとともに、地域保健医療・介護関係者への研修等を行う「認知症疾患医療センター」が設置されています。
※認知症疾患医療センター運営事業は、都道府県知事又は政令指定都市市長が指定した病院が行い、千葉県では9病院が、千葉市では1病院が指定されています(千葉県ホームページより)
 なお、海匝香取地域では、総合病院国保旭中央病院が指定されております。

【海匝香取支部主催・医療安全管理研修会でのアンケート結果】

1、本日の研修会(テーマ「認知症の人への理解と対応」)のご感想をお願いいたします。
・当院の患者さんの中には、認知症の方がいますが、数多くはありません。窓口での対応の参考になりました。①笑顔で接する、②相手の目線で話しかける、③ゆっくりとわかりやすく話すなど是非参考にして、受付業務したいと思います。

・クリニックで働く傍ら、デイサービスでも看護師として働いていて、入浴拒否や来所拒否などを経験しています。「説得」より「納得」や、業務優先の過剰な介助や介護、認知症の人への看護の項目は今回の研修会の中で特に印象に残りましたし、今後の看護に活かしていきたいと思いました。

・自分にあてはまる行動もあったので、これからが少し不安になった。高齢者への対応には、相手の立場にたって気を配っていたが、もっとより良くできると感じたので、明日から参考にして実行したい。

・認知症の人の症例や対応についてとてもわかりやすかったので理解しやすかったです。相手の方が認知症だとしても健常者の方と同じように対応するのは大切だと思います。医療安全なので、入院や病院での話になってしまうのかもしれませんが、徘徊に関して入院中以外(自宅にいる時)などの対応策も何点かあれば良かったのかなと感じました。

・患者さんの中に軽い認知症の方がいらっしゃいます。お会計の際、千円札がたくさんあるのにも関らず、いつも一万円を出します。また保険証を渡したのですが、もらっていないとトラブルになったこともありました。そのようなトラブルも起きないための対応等が今回のお話を聞いてわかりました。もっと丁寧に、敬意をもって接することが大事なのだと思いました。

・今まで認知症の講習がなかったので、とても勉強になりました。身近に認知症の人がいなく、他人事のように思っていましたが、誰がいつなってもおかしくないなと思いました。受付対応することが多いので、会計時、気をつけようと思います。

・義母が現在メマリー服用中です。テーブルに食后の薬と水が入ったコップをさりげなく置いておくのですが、度々飲み忘れているようです。タイミングを見計らってやさしく言うのですが、「うるさい」と怒鳴ります。薬をいっしょに取り出すのを手伝ったり、自分も薬を飲む様子を見せたりするのですが、やはり反抗?するのか、腹を立てます。薬だけでなく、自分の下着も紛失、しまい忘れ、家族の下着や孫の下着を洗濯ピンチからはずし、着用し、困ります。いずれも怒り始めるので、常に新しい下着を用意したり、手の届かないところに干したりしますが、認知症の人を中心としていると、介護しているほうが病んでしまいます。今、見て見ぬふりをして、家族中で我慢をしている状態です。

・認知症の患者さんとあまり関ることが日々少ないので、この様な研修でたくさんの事を知れて、関り方や話し方に気をつけていきたいと思いました。動画やわかりやすい資料でとても良かったです。

・認知症があると知っていても実際にどのように接したらいいのかわからないことも多くあり、ためになりました。

2、海匝香取支部では、今後も様々な講習会・研修会を企画していきたいと考えております。
○どのような講習会・研修会を希望されますか?

◇認知症をテーマに
 ・もっと深く学びたい。
 ・認知症にならないための生活、行動などについて知りたい。

◇接遇講習会(基本接遇、クレーム対応など)
 ・以前にも参加しましたが、接遇講習会を希望します(スタッフの入れ替わりがあるので)特に若いスタッフへの指導が極めて難しいです。
 ・受付対応の研修会などをしていただけたらと思います。
 ・待ち時間などに関して患者様からのクレーム対応(「長い」とか「いつまで待たされるのか」をご年配の方に理解、納得してもらえるのか)

◇院内感染症対策
 ・院内感染症対策の取り組み方
 ・感染症への対応(ノロウイルスやインフルエンザなどの患者さんが来たときの対応の仕方、ノロウイルスへのおすすめの消毒液とかあれば知りたいです)

◇その他
 ・個人的に家族にがん患者がいるので、介護についてお教えいただきたいです。がん患者のケア
 ・在宅で利用できるフォーマル・インフォーマルサービスの実際
 ・医療事故調査制度について、実例をはさみ、説明会があるといいです。

3、その他のご要望があればお願いいたします。
 ・開始時間を少し早めにしてほしい。
 ・医療安全管理研修会が、あまりこの近辺でやらないので、もう少し回数を増やしていただくか、千葉市内などでも開催の回数を増やして頂けると助かります。