千葉県保険医新聞2017年2月25日号(第638号)

■県歯科医師会と懇談-個別指導対策を主要テーマに~診療報酬についても意見交換~
■第2回保団連代議員会開く-歯科会員増加数で全国3位

県歯科医師会と懇談-個別指導対策を主要テーマに
~診療報酬についても意見交換~


▲前列左から順に、宍倉邦明県歯科医師会専務理事、斎藤英生県歯科医師会会長、宇佐美宏協会副会長、佐々木脩浩協会副会長
 後列左から順に、久保木由紀也県歯科医師会社会保険委員会委員長、毛取健至県歯科医師会社会保険担当理事、石毛清雄協会保険部長

 協会は、1月20日千葉県歯科医師会館で、県歯科医師医会と懇談した。県歯科医師会からは、斎藤英生会長、宍倉邦明専務理事、毛取健至社会保険担当理事、久保木由紀也社会保険委員会委員長が出席、協会からは、宇佐美宏、佐々木脩浩両副会長、石毛清雄保険部長、事務局が出席した。冒頭、石毛保険部長が、今回の懇談を快諾していただいた御礼を述べた後、「県内の個別指導結果が非常に厳しくなっているなか、歯科医師会、協会それぞれの会員にいかに正しい保険請求や適切なカルテ記載を周知できるか、また昨年4月の診療報酬改定内容についても率直に意見交換したい」と挨拶した。
 懇談は、協会が厚生局に開示請求した平成27年度の個別指導の指導結果・対象件数、県内における施設基準の届出状況、協会で取り組んでいる弁護士帯同の概要等の資料を示しながら行った。懇談をとおして、昨年度の新規指導で3割が再指導になっていることを重視し、新規会員へ各種講習会や広報紙を通して、適切なカルテ記載を周知するなど対策強化をしていくことを再確認した。また毛取社会保険担当理事から人口増加の影響もあり、情報提供での選定も増えていることが指摘され、あわせて今年度の指導についても報告された。
 昨年の診療報酬改定で導入された「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」については、協会から今年度2回、施設基準に係る研修会を行ったことを報告し、多くの参加があったことを述べると、県歯科医師会でも郡市歯科医師会と協力しながら定期的に開催しており、双方の会員が非常に関心が高い点数であることが明らかとなった。その一方で斎藤会長から、「一物二価の問題もあり患者からの問合せも歯科医師会に寄せられている」との状況も報告された。
 最後に、石毛保険部長が「今後も定期的に懇談の機会を設けていただけるようにお願いしたい」と締めくくった。

第2回保団連代議員会開く-歯科会員増加数で全国3位

 1月29日、保団連は東京麹町・都市センターホテルで16・17年度第2回代議員会を開き、各協会・医会の代議員、理事会役員、事務局ら284人が参加。協会からは、細山公子、野崎泰夫両副会長、中村誠二理事が代議員として、宇佐美宏、武田浩一両副会長が保団連執行部として出席した。

 代議員会は、①会務報告、②保団連役員の辞任と補充選任、③2017年度予算、④加盟団体表彰、⑤代議員会決議の提案と採択、の5つの議事について、①と③を挙手で採択し、②と⑤は拍手で承認した。
 会長挨拶では住江憲勇会長が、貧困と格差が拡大し、医療・社会保障費の財源縮小で暮らしの安心、安全が脅かされている国民生活をどう守るのかが喫緊の課題だとし、PKOかけつけ警護、TPP交渉への盲進、アベノミクスの不発を論じ、安倍政権の暴走政治を糾弾。国会で数を頼りに法案を強行採決する議会制民主主義軽視の姿勢をあげ「まやかし、ごまかし、たぶらかしの政治の転換を」と訴えた。
 次に宇佐美宏副会長は、情勢の変化を分析し、18年4月の診療報酬・介護報酬同時改定で引き上げを勝ち取ること、新たな患者負担増を阻止すること、都道府県単位で進められる医療費抑制策に対し運動することなどを柱とする会務報告を提案した。
 加盟団体表彰では、歯科開業医会員年間実増数が46人となった千葉協会が3位に入賞。代表して細山代議員が表彰を受けた。

 発言通告は、口頭・文書あわせて120題あり、それぞれについて討論した。千葉からは「クイズはがきの積極的な活用や受診実態調査等のマスコミ対応などの取り組みについて」、「指導時における弁護士帯同状況のこの間の経過、特徴、今後の課題について」、「各自治体の予防接種制度の状況把握と拡充に向けた懇談の推進を」、「糖尿病と歯周病連携手帳を活用した多職種による医科歯科連携の強化を」、「歯科訪問時の駐車禁止除外を求める全国的な取り組みを」の5題を発言。指導時における弁護士帯同状況の発言に対し、執行部は「取り組みの教訓を踏まえ、ブロック間での経験交流、議論を深めていきたい」と答弁した(発言全文は、上記発言タイトルをクリックするとみることができます。千葉協会からの発言以外の発言、討論について全国保険医新聞をご覧ください)。

 最後に「格差と貧困を是正し、医療・社会保障の充実・発展を求める決議」、「3回連続のマイナス改定を止め、医療崩壊阻止の引き上げを-医科診療報酬の引き上げを求める特別決議」、「歯科医療崩壊阻止のために大幅引き上げを-2018年度歯科診療報酬改定に向けた特別決議」の3つの決議を拍手で採択し、閉会した。

糖尿病と歯周病連携手帳の活用した多職種による医科歯科連携の強化を(野崎泰夫)
 千葉協会では2008年から歯周病と全身疾患プロジェクト委員会を設置し、地域での医科歯科の連携を推進するため独自に「糖尿病と歯周病医科歯科連携手帳」を作成し、患者さん自身が医科歯科情報を共有することとした。また、療養指導を通して健康状態を自覚して、行動変容を促すことで健康状態の改善を図ることを目標としている。実際には診療の際に歯周病と糖尿病の関係を説明し、患者さんを通して、かかりつけ医師、歯科医師に手渡してもらい、医科と歯科の顔の見える連携構築の一手段としてもらっている。
 12月4日に四ツ谷・主婦会館プラザエフで8回目となる東京・東京歯科・千葉協会3協会主催で「睡眠時無呼吸症の治療における医療連携の実際」をメインテーマに医科歯科連携研究会2016を開き、医師、歯科医師、コメディカル・コデンタルなど90名が参加、千葉からは26名が参加した。
 本公演に先立ち、プレ講演として、川島正人氏(板橋区・山崎歯科口腔ケアクリニック)が「透析患者に対する口腔ケアの取り組み~当院と鶴田クリニックとの連携報告」と題し、東京・東京歯科協会の協力のもと、千葉協会が中心となって2014年5月から行っている同じ板橋区の鶴田クリニック(鶴田幸男院長)の透析患者への出前歯科健診について、この間健診を行った77名のうち実際に健診後に歯科に受診した4症例を中心に報告した。報告では、糖尿病患者は、長期にわたり歯科未受診が多く、多数歯う蝕や歯周病があり喪失歯が多く認められており、歯科治療を受けることで歯周病の改善、咀嚼機能の回復が得られることにより糖尿病の改善にもつながるとし、医科歯科連携により疾患の改善効果が期待できることが強調された。
 この間手帳の活用経過をみていると、実際に院内で活用していくためには実施医療機関内でのスタッフへの手帳に関する理解が広がらないと使われないことが明らかとなっている。医師、歯科医師だけでなく、医療スタッフ(看護師、歯科衛生士、糖尿病療養指導士、管理栄養士等)も加わり、まずはできるところから、患者さんとの対話を通じて健康状態を手帳に記入していくことが大切であると考える。
 地域包括ケアシステムが進む中で今後保団連版の医科歯科連携手帳を作成し、各協会で活用し医科歯科一体の役割を果たしていく必要がある。

歯科訪問時の駐車禁止除外を求める全国的な取り組みを
(中村誠二)
歯科医療機関が居宅に歯科訪問治療で出向いた際に、駐車場所確保が困難な場合がある。そのような場合、駐車禁止規制の除外申請や駐車禁止区域での駐車許可申請を行うことにより、駐車禁止区域での駐車が可能になる。
千葉県の事例では(1)申請の根拠となる条項として昭和48年千葉県公安委員会告示第一号(千葉県公安委員会の定める交通規制の対象から除く車両の指定より抜粋)
「4、駐車禁止及び時間制限駐車区間の規制の対象から除く車両(駐車禁止の場所が車両の通行を禁止している道路の区間にある場合は、当該通行禁止の区間を通行することが認められている車両に限る。)
(8) ア急病者等に対する医師その他これに準ずる者の緊急往診又は緊急手当のため使用中の車両、キ前各号に掲げるもののほか、公益上又は社会生活上特に必要があると認められる業務に使用中の車両
(9) 急病人の搬送等人の生命又は身体に係る緊急やむを得ない事由により使用中の車両で、当該医療機関の所在地を管轄する警察署長が交付する標章(別記第5号様式)を掲出しているもの」
以上の条項が根拠となるものと思われる。
ア、キは「除外申請」、9は「許可申請」となる。アでは「緊急性」が強調されており、「歯科ではまずない」(千葉県公安委員会)とのこと。キでは「公益性」という観点から、歯科医師会が自治体と契約を結び訪問診療を行う場合が想定されており、歯科医師会が申請をする際に、会員の歯科医師でその事業を行う歯科医師名を申請し、その歯科医師に標章が交付される。一般の診療所が申請をする場合は(9)に基づく申請が行われるが患家近隣の警察署で手続きを行い定期的な更新を必要がある。在宅患者で急な痛みや抜歯などの治療要請には間に合わないことも多い。在宅医療が推進されるなか、歯科にも緊急を要する診療があることを広く関係機関に知らせ、往診の定義が歯科分野にも取り入れられる必要がある。

クイズはがきの積極的な活用や受診実態調査等のマスコミ対応などの取組みについて
(野崎泰夫)
 協会は昨年9月よりスタートした「クイズはがき」運動への取組みでは「クイズちらし」「政策リーフ」「ティッシュはがき」の3つの宣伝資材を活用し、患者負担増などについて「待合室」で患者さんへ関心を広げる活動を進めました。全会員には3点の宣伝物を送付し、追加利用を訴えました。その結果、医科59医療機関・歯科67医療機関の合計126医療機関よりクイズチラシは4,384枚、政策リーフは5,923枚、ティッシュハガキは30,750個の追加注文が寄せられるとともに、併せて役員の先生には一律に政策リーフ50枚、ティッシュハガキ250個を配り、患者さん等への活用を呼びかけました。
 今年の1月下旬からは、「医療・介護の負担増の中止を求める請願署名」に取り組むこととし、待合室からの情報発信を進め医療・社会保障を守れの声を大きく広げていきます。それらの声を広げるために、宣伝チラシ署名や新リーフレット「心配です!!医療費負担」、ポケットティッシュ署名を大いに普及活用し今通常国会中(6月末までの会期)に集中した運動として取り組みます。併せて「保険で良い歯科医療の実現を求める請願署名」も2月後半からの実施を予定しています。
 世論喚起の活動については、第2回代議員会の会務報告でも強調されています全国的に取り組まれました、昨年の「患者受診実態調査」と「歯科技工所アンケート」の両集約結果について記者会見を行い県内マスコミ各社の報道を促しました。その結果、地元紙の千葉日報では一面で取り上げられ、その他の新聞でも千葉地方版に報じられました。この取材を通して歯科技工問題では宇佐美協会副会長(保団連歯科代表)が直接記者の面談取材を受け、この間の歯科技工問題の経緯について説明するなど今までにない新聞社の対応が見られました。このことにおいても現場での医療の現状や実態、問題点についてマスコミなどの媒体の協力を得ながら、周知していく活動をより一層進めていくこと必要をなっています。引き続き各種の調査結果や会員や患者さんの声を届けるために、保団連でのマスコミ懇談会の定期開催や各協会・医会を通して恒常的に地元マスコミへ働きかけを進めていただきたい。

指導時における弁護士帯同状況のこの間の経過、特徴、今後の課題について
(中村誠二)
 審査・指導、監査対策について保険医協会に寄せられる相談等は年々増加する傾向が増えています。特に歯科では個別指導時の事前相談や弁護士の帯同する回数も増加しています。
 この間、弁護士帯同にあたって、指導の事前には①協会事務局との連携、②被指導医療機関との事前打ち合わせ、③厚生局への弁護士帯同の事前通知と委任状の受諾、指導時には「録音」「同席」する。そのことは調査者に対して圧力を加えることを目的ではなく、法に基づく丁寧な指導の実施であり、「運営の監視」が帯同の役割であり行政に自覚を促すことにあります。被指導医をはげまして人権を擁護することであり、「不正」を擁護することではありません。指導終了後には指導内容や特徴点について報告を受け、今後の対応に備えます。
 帯同した弁護士からは、個別指導に帯同して思う事として、「現在の指導は医師歯科医師にとって重圧となり不安になっている。本来の任意による行政指導という目的にも不適切で是正が必要である」と指摘している。ここ数年間で25件程度に帯同している。また、日弁連(日本弁護士会)は意見書での提言を公にしているもの行政手続き法との関連づけが弱いということは指摘できる。今後弁護士立ち合い権の確立にむけての努力が必要ではないかとの指摘もされている。
 さらに、個別指導の「制度改革と運用改善」にむけた課題として、厚生局に対して総論的には行政手続法を含む法の趣旨にそった個別指導の実現させる姿勢への是正が必要です。運用改善では、持参カルテや資料の再検討、選定理由合理性と開示、何件かある制度の目的からも逸脱する指導態度の是正を、自主返還では即断せず検討すること、中断への対応、厚生局との懇談実施、事前指導の重要性-が求められています。医師・歯科医師に対しては、制度への基本的理解を深めることと日常的な努力が必要で、カルテ記載とレセプトの整合性を取ること、いたずらに指導に対して不安とならないことへのサポート、協会は会員への教育宣伝の強化、関われる弁護士を増やしていくこといが求められています。
 協会は今後も弁護士帯同の活動を量的にも質的にも増やすこと、他の医療関係団体との連携、行政(厚生局)への要請や意見交換などを通して、持参物問題や指導日の通知、返還、中断などの課題などへの対応を積極的に進めていきたい。保団連として各協会・医会での取り組みや活動の特徴についてさらに情報交換をできるような体制の強化をお願いします。

各自治体の予防接種制度の状況把握と拡充に向けた懇談の推進を(細山 公子)
 当会が団体加盟する「予防接種を推進する会・ちば(中山義雄代表・小児科医)」は県内54市町村の2016年度(6月1日時点)の予防接種事業実施状況等についてアンケート調査を行い、2016年7月末までに54市町村から回答を得た(回収率100%)。
 今回の調査では、各自治体において任意接種ワクチンの「おたふくかぜ」「ロタウイルス」「小児のB型肝炎」、「インフルエンザ」について、それらの費用助成制度の有無や実施対象者、並びに助成額(自己負担額)の状況を確認した。また定期接種ワクチンについてBCGは接種方法(集団・個別)、高齢者の肺炎球菌やインフルエンザについては接種費用や自己負担がない対象者の有無、日本脳炎ワクチンは生後6ヶ月から3歳未満で接種した場合の自己負担の有無や保護者への周知方法等を聞き取り集約した。
 特記すべき点として、乳児(平成28年4月1日以降に出生)のB型肝炎について昨年の10月から定期接種に追加されることになっているが、既に費用助成を実施しているいすみ市、長南町、柏市、松戸市の他に、新たに10月実施に先駆けて市川市、習志野市、千葉市の3自治体が、接種が混雑する秋以降の時期を避けて前倒しで接種を開始。定期接種期間(生後12ヶ月まで)に接種が完了できるよう独自施策を始めたことが明らかとなった。このB型肝炎ワクチンの先行接種については、今年3月22日に千葉県小児科医会並びに千葉県医師会、予防接種を推進する会・ちばの三団体が連名で県内全首長に実施を要請し、施策実現につながった。
また、日本脳炎ワクチンについては、6ヶ月から接種できる定期接種であるが、国が示す標準的スケジュールから外れて3歳未満で接種した場合の自己負担徴収の有無を聞いたところ、すべての自治体で6ヶ月から自己負担なく無料で接種できることがわかった。
 今後の課題として、WHOが推奨している任意接種ワクチンの早期定期接種への導入やB型肝炎対象年齢引き上げのほか、2020年東京オリンピック開催までに風疹排除をめざし、接種機会がなかった成人への風疹ワクチンへの費用助成の導入などMRワクチンの接種率向上が挙げられる。
 VPDから子どもも大人も守るために保団連・各協会(医会)で各自治体の予防接種実施状況を調査し、情報を公開していくこと。また各自治体の実施状況にもとづき、予防接種制度の充実と接種率向上に向けた環境づくりをめざし、各自治体と担当部局と懇談し制度拡充を要請することが重要である。