千葉県保険医新聞2019年3月10日号(第685号)

災害発生時に何をすべきか 陸前高田市の経験・教訓



▲地域医療部が開いた「災害対策セミナー」。岩手県陸前高田市の東日本大震災の体験から教訓を学ぶ参加者。=2月16日



▲陸前高田市での取り組みを報告した講師の岩井直路氏(左)と石木幹人氏(右)

 地域医療部は2月16日、災害対策セミナーを協会会議室で開き、協会医科・歯科会員、千葉県内の介護職員やケアマネジャーなど49人が参加した。
 今回の講演会は、東日本大震災発生から7年が経過し、千葉県においても、近い将来大震災が発生する確率が高いとされていることから、先の大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市から講師を招いて、震災の経験や教訓を学ぶことを目的に開催された。
 講師は、昨春松戸市から陸前高田市の国保診療所に赴任した岩井直路氏と、岩手県立高田病院前院長の石木幹人氏が務めた。
 はじめに岩井氏が「被災地陸前高田での1年間の取り組み~未来を見据え」と題して、陸前高田市における地域医療の取り組みや、地域の問題点などについて報告した。問題点の中では「高齢者数の増えない高齢化」、「高齢者を支える生産年齢人口減少」への対策は重要であると指摘した。
 続いて東日本大震災発生時に津波により壊滅した病院の院長を勤めていた石木氏が「震災直後の医療活動と今後」と題して講演した。
 石木氏は、まず東日本大震災発生前に取り組んできた陸前高田病院の経営の改善や、被災前の防災訓練や概要について説明。その後、東日本大震災による津波の被害について、病院は4階建てだったが、事前の想定を大幅に上回る津波により3階まで津波の被害をうけ、52名の入院患者のうち12名が死亡したことや、地震による停電でテレビやラジオ、電話が使用できなくなり、津波警報の情報が入ってこなかったことなど、大震災当日の様子を詳細に報告した。
 そして震災翌々日から救護所で診療を開始し、全国各地からの応援や医療・介護・福祉関係との連携により、地域住民の医療に取り組んだ事例を報告しながら、大災害の時に被災者の健康を守り、医療を提供するために必要なことについて、自身の経験に基づいて説明した。
 今回の被災の教訓としては、「災害の想定を歴史に基づいて行う」、「被災する可能性が高い地域住民が災害時の対応について十分話し合いを行っておく」、「通信手段が遮断される可能性があるので対応を検討しておく」、「大震災後の医療の供給は、救護所の設置、避難所めぐり、訪問診療、保健師活動と多岐にわたり、地元のスタッフの確保が必要」などをあげ、事前対策の重要性を強調した。