千葉県保険医新聞2020年9月25日号(第718号)

新型コロナでアンケート 検査対象は医学的判断で
 
 9月9日、協会がこの間に実施した「新型コロナウイルス感染症による日常診療への緊急アンケート」、「新型コロナウイルス感染症の検査体制に関するアンケート」の結果をまとめ、県庁で記者会見を開いた。宇佐美宏副会長、黒木春郎理事(政策調査副部長)、事務局が会見に臨み、両アンケートからみえた医療機関の現状、結果から読み取った考察を報告。NHK、千葉日報など6社が出席した。

小児科・産婦人科・耳鼻咽喉科 受診控え影響「甚大」 6月診療分

 新型コロナウイルス感染症による日常診療への緊急アンケートは3月診療分から毎月実施している。6月診療分もこれまで同様に外来患者数、保険診療収入ともに「減った」の回答が最も多いが、外来患者数の「減った割合は、78・8%(同5月89・7%)で「患者減は全体として若干改善がみられた。ただし、診療科別では小児科(96・3%)、産婦人科(93・3%)、耳鼻咽喉科(100%)と依然として患者の受診控えがある」と報告した。
 「4割減以下に収入が減ったする回答は77・6%であり、国の持続化給付金などの給付条件を満たさない医療機関が多数である。全ての医療機関に財政的支援が行き届くべきだ」と主張した。

検査体制の整備」・「保健所や行政との情報共有」求める声
 
現行の制限付き検査体制に問題があると回答した医療機関は328件(77・0%)にのぼった。今後の検査体制の拡充に必要な問題点としては、検査施設数と検査キット、防護服等の不足、医療体制整備不足、行政との連携等が指摘されていること、特に、保健所の負担が過重であることや保健所や行政との情報共有ができていないという声も寄せられていることを報告。「PCR検査、唾液の抗原検査は医学的適応を踏まえて実施すべき、また、そのための体制整備が急務であると考える」と言及した。また、医療用物資の不足、価格の高騰に触れ、「国の無償配布分だけでは不十分で、秋・冬に予想される第三波に備え、さらなる支援体制の強化を求める」と要望した。
※9月10日号に「検査体制に関するアンケート回答結果のまとめ」を掲載

受診控えによる健康被害、風評被害と人権について言及

宇佐美副会長は、「歯科診療所は、医療経済実態調査をみても医科と比べて100対50の差がある。いわゆる体力がなく、影響が非常に強い。倒産・廃院が危惧される」さらに、4月6日に厚労省が出した事務連絡を紹介し、「不要不急の歯科診療自粛を促した影響が大きい」と指摘した。
 黒木理事は、小児科医、感染症専門医の立場から検査体制、受診控え、風評・人権の3つの視点から発言。「検査にはおのずと限界がある。PCR検査の数と感染者数は相関しない。つまりPCR、抗原検査は医学的に妥当であると考えて行うべきだ。小児科にとって受診控えは、ワクチン接種、健康診断が適切に受けられない問題」と指摘。また、コロナ禍でのオンライン診療の優位性を紹介した。
 さらに、いすみ市の「新型コロナウイルス感染症から命を守り、人権を尊重するまち宣言」を引用し、「濃厚接触者には『君は謝るな。君が罹っても謝るな。そして決して人を攻めてはいけない』。こういう強い姿勢が必要です」とし、日本全体が冷静な対応をすべきと提言した。


▲新型コロナウイルス感染症に関して、日常診療への影響アンケート、検査体制のアンケートを報告する宇佐美副会長(左)、黒木理事(右)=9月9日・千葉県庁