千葉県保険医協会

声明・主張・談話

マイナンバーカードの保険証利用等に係る システム導入の義務化に強く反対する

2022.06.08千葉県保険医協会 会長 岡野 久

内閣総理大臣 岸田 文雄 殿
厚生労働大臣 後藤 茂之 殿
総務大臣   金子 恭之 殿
デジタル大臣 牧島 かれん 殿

 

厚生労働省は5月25日に開催された社会保障審議会医療保険部会において、2023年4月から保険医療機関でオンライン資格確認のシステム導入義務化と、2024年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入、保険証の原則廃止を目指す方向で検討を開始した。「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)においても同様の方針が示され、マイナンバーカードの保険証利用のペースを上げるため国は強制的な手法を取ろうとしている。
 国民皆保険の日本では、医療へのアクセスと健康保険へのアクセスは実質的に同一である。保険証が原則廃止ともなれば、マイナンバーカードを持たない者は、健康保険による診療が受けられなくなるので、保険診療を受けたい場合マイナンバーカードを取得せざるを得ない。これはマイナンバーカード取得の実質義務化である。マイナンバーカード取得は法律上任意とされているので、明らかに法律に抵触するのみならず、マイナンバーカード取得を医療へのアクセス条件にすることは、憲法25条で規定された生存権を脅かすもので容認できない。またマイナンバーカードの保険証利用により、マイナポータルに集積された診療情報の閲覧が可能になる。しかし近年、ランサムウエア感染をはじめとするサイバー攻撃のリスクは格段に上がっている。患者の医療情報の漏洩リスクなどプライバシー侵害の問題が何ら解決されていない。
 オンライン資格確認は導入コストのみならず、一定のランニングコストを医療機関が負担する。これらの財源を手当てせずに、国が一方的な「義務化」を強要することは、過去にレセプトのオンライン請求を「義務化」しようとして、医療現場に大混乱を招き失敗した歴史から何も学んでいないと指摘せざるを得ない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応で疲弊した医療現場に、オンライン資格確認システム導入の義務化を押し付けるのは現場無視も甚だしいと言える。
 患者・国民の命と健康を守る医師・歯科医師の団体として、政府・厚労省に対して、医療機関におけるマイナ受付等に係るシステム導入の義務化、保険者における保険証発行の選択制導入や保険証の原則廃止などについて中止・撤回することを強く求めるものである。

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