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2025年7月1日号(819号)【記者会見】《資格確認書》国保も全員交付へ記事一覧に戻る

7月末に有効期限を迎える国民健康保険証。自治体国保課 の8月以降の対応等を報告し、資格確認書全員交付の必要 性を訴えた記者会見=6月 11 日・千葉県庁

【記者会見】《資格確認書》国保も全員交付へ
県に自治体の自主性尊重求め要請

6月11日、協会は千葉県庁記者室で会見を開き、宇佐美宏・武田浩一両副会長、吉川恵子事務局長らが「国民健康保険加入者へ送付する資格確認書等に関する緊急アンケート」の結果を分析、公表した。

 

医科・歯科医療機関を取り巻く情勢を踏まえ、マイナ保険証による医療機関窓口での資格確認に関するトラブルが未だに続いており、国民健康保険証の有効期限の7月末日が迫るなかで、患者が受診できない状況が起こらないよう、マイナ保険証の利用登録者も含めた全ての被保険者に資格確認書を交付することが必要であると訴えた。

 

マスコミからは、共同通信(幹事)、読売、東京、千葉日報各社が出席した。
また、県国民健康保険課を訪ね、自治体の自主性を尊重し「資格確認書の全員交付」ができる環境整備への尽力を求める要望書を提出した。

 

国保自治体アンケート項目

  1. 国保加入者について、マイナ保険証利用登録者(マイナ保険証の保有者)を3月 31 日時点(回答時が5月の場合は4月末日)のデータで把握していますか。
  2. 社保(協会けんぽ)加入者が国保(国民健康保険)加入者へ4月1日時点で異動があった場合、そのデータを把握していますか。
  3. 国民健康保険証が 2025 年7月末期限を迎えますが、貴自治体では、年次更新でどのように対応しますか。
  4. 「マイナ保険証」の利用登録解除についてお尋ねします。利用登録解除事務を開始した日から 2025年3月31日までの累計解除件数は、何件ですか。
  5. 自由意見欄

【追加して電話聞き取りした3項目】

  • ①「マイナ保険証利用登録者以外に資格確認書を送付するための、対象者をより分ける作業は現状のシステム上、簡便にできますか」
  • ②「7月末日に国民健康保険証が有効期限を迎えるにあたり、不安なことがありますか」
  • ③「国が資格確認書発行について、各自治体の実情にあわせて柔軟な対応ができる等新たな「通知」があれば、対応しやすい(やりやすい)ですか」

医療現場のトラブル・患者の混乱回避には

 

会見で司会を務めた吉川事務局長は、これまでに協会が会員対象に実施したマイナ保険証トラブル調査、保団連の全国調査の概要を報告。

 

回答の約7割がマイナ保険証によるトラブルを経験し、当該トラブル・不具合の対策として、その日持ち合わせた健康保険証による資格確認を約7割が選択している実態を報告。

 

さらに、マイナ保険証利用登録者数(率)とマイナ保険証利用数(率)との乖離を示し、厚労省資料によるとマイナ保険証利用率は27.26%(25年3月時点)と3割に満たず、普及が進んでいると言い切れない。

 

資格確認書とマイナ保険証を併用して運用することで、医療現場のトラブル回避、患者の混乱を避けることができる」と説明した。
続いて協会事務局から、国保自治体アンケートの結果、その後実施した電話聞き取り調査の情報を報告した。

 

アンケートは4月30日から実施し、県内53自治体の国保担当課から回答を得た。7月に有効期限を迎え、国保の年次更新が行われるにあたり、マイナ保険証利用登録があるかないかのデータ把握、年次更新時の対応等を尋ねた設問は「国保自治体アンケート項目一参照」「全ての国民健康保険加入者に資格確認書を送付する」と回答する自治体はなかった。

 

しかし、アンケートの過程で東京都渋谷区、世田谷区が国保加入者全員に資格確認書を一斉送付する動きがあった。

 

一方、国は5月30日付事務連絡「国民健康保険における資格確認書の取扱いについて」を発出し、「全員一律に資格確認書を交付する状況ではない」と表明しながら、「自治事務なので最後は自治体判断」と福岡資磨厚労大臣が発言(6月6日衆議院厚労委員会)するなど迷走している。

 

そこで、協会は自治体名非公表の条件で電話聞き取りを追加して行った。自治体国保担当者の多くが、8月以降「マイナ保険証の解除申請が増える」と認識していることが分かった。個別には「マイナ保険証を登録した覚えがないとする問い合わせへの対応、「従来の世帯ごとから個人ごとで配送する複雑化」、「全部が不安」とする意見、資格確認書送付については「国が迷走しており業務が煩雑」、「全員に送付したい」とする意見があったことを報告した。

 


マイナ保険証導入が結果的に「閉院」後押し

 

武田副会長は、資格確認に関する患者の認識、情報の周知について不十分な点があるとした上で「今後は、さらにスマートフォンが活用される。患者は、マイナンバーカードの電子証明書をスマホに搭載して利用する。方法そのものを否定する訳ではないが、さらに混乱するのではないか」。

 

宇佐美副会長は、厚労省「医療施設動態調査」をもとに歯科医療をとり巻く情勢を紹介。「無歯科医地区数が増加に転じている。これにマイナ保険証導入を契機とする閉院が重なり、危機に直面している」として、地域医療を守る施策を求めた。

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