
【歯科学術研究会】唾液IgAの重要な機能
腸・唾液腺相関を提唱
研究部は、10月18日、協会会議室で「唾液の新たな健康効果―腸・唾液腺相関と口腔粘膜免疫の重要性―」をテーマに歯科学術研究会をWeb併用で開催し、75人が参加。
講師は、槇木恵二氏(神奈川歯科大学副学長)が務めた。
以下、講演内容について、三辺正文研究担当理事がまとめた要約である。
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本講演は唾液研究の第一人者である神奈川歯科大学環境病理学分野の槇木恵二教授に協会に来て頂き行われた。
槇木先生は現在、日本唾液ケア科学会の理事長でもあり、NHKの「あさイチ」や「チコちゃんに叱られる」など多くのメディアにも出演されている高名な先生で、多くの参加者が視聴された。
講演は、唾液とは?から始まり、生物の進化における唾液の意義、「高機能水」としての唾液の役割、そして、唾液の機能性を向上させる方法が唾液ケアであると定義された。
本題の唾液IgAの話に入る前に粘膜免疫の特色についての説明があったので、口腔の感染予防の最前線に唾液IgAがあることが理解できた。
以下、講演の要点を挙げると、① う蝕感受性と唾液IgAは関連がある。② 唾液IgAレベルが高いとう蝕の予防に有用、また気道感染(コロナやインフルエンザなど)の罹患率が減少(コロナ感染と唾液IgAについてご自身のグループの研究を紹介)、③ 難消化性糖類の摂取により大腸の短鎖脂肪酸が増えるとともに唾液IgA濃度や分泌速度が増加する(図1)。

④ ヨーグルトなどのプロバイオティクスは、オリゴ糖などのプレバイオティクスの摂取は大腸とともに口腔の粘膜免疫の向上をもたらすなどである。
また、唾液IgAを増加させる方法としてガム咀嚼や軽い運動が紹介された。さらに、唾液IgAの機能を「口腔清掃度の指標であるアンモニアが低下させることから、その機能を低下させないためには、口腔清掃状態を良好に保つことが重要である」と示された。(口腔健康管理を進化させるには、唾液検査と唾液ケアが重要。図2)

最後に、日本唾液ケア科学会および今年11月23日に横浜で開催される当学会学術大会の紹介があった。(本講演は、当協会会員HPよりオンデマンド配信予定)
ワクチンパレード 2025
必要な人に必要なワクチンを
10月16日、ワクチンパレード実行委員会 事務局・吉川恵子氏は「ワクチンパレード2025〜希望するすべての人たちにワクチンを!」を開催した。今年で第16回目を迎え、患者会含む15団体60人が参加。千葉協会からは武田浩一副会長と事務局9人が参加した。
東京都港区の三河台公園で出発前に行った集会では、子ども支援ネットワークの細部千晴氏が挨拶し、「必要な人たちに必要なワクチンが届かないのは情報格差・地域格差・経済格差・施設間格差の4つの格差が障害となっている」と指摘。「これらの是正のために引き続き声を上げていくこと」を呼びかけた。
また、VPDを知って、子どもを守ろうの会の中井麻子氏は、「麻疹は2015年に“風疹は今年やっと”排除認定を受けた。今後は排除状態を維持するために何ができるかを考え、実行していきたい」と意欲を述べた。
パレードは三河台公園を出発後、シュプレヒコールを上げながら40分ほど行進。途中小雨に振られる場面もあったが、「VPDを防ごう」「HPVワクチンの男子への接種を定期化しよう」「子どもたちを守るのは、大人の責任だ」「ワクチン接種で風疹排除を維持しよう」と力強い声を響かせた。到着地点である日比谷公園では、「希望するすべての人たちにワクチンを!」「エイエイオー!」と声を上げ、パレードを締めくくった。


ワクチン行政の充実を訴えながら、パレードを行う参加者(上)/厚生労働省へ要請を行う参加者(下)=10月16日・厚生労働省
ワクチン行政の更なる推進を
厚生労働省へ要望
ワクチンパレードを終えた一行は、厚生労働省を訪問。審見学感染症対策部長と面談し、VPD(ワクチンで防げる病気)から子どもを守るための予防接種施策に関する要望書(協会を含む15団体と医師4名が連名)を提出した。要請団体に名を連ねた太田洋いすみ市長が要望書を代表して読み上げた。百日咳の急増、麻疹拡大の兆しなど日本の現状を指摘したうえで、①一生治らない難聴をはじめ重大な合併症のリスクから子どもたちを守るためにおたくふかんぜを早急に予防接種法のA類疾病に定めること、②百日咳感染による乳児死亡を防ぐために成人用三種混合ワクチンの承認および妊婦への接種勧奨、就学前の三種混合および不活化ポリオワクチンの追加接種を定期接種に追加すること、③HPVワクチン接種率向上のため、文科省と連携した児童、生徒、保護者への啓発活動により接種勧奨及び男性を定期接種対象に拡大することの3点を要請項目として、希望するすべての人たちが自治体格差なく、全国どこでも安心して無料でワクチン接種できる体制構築を求めている。要請を受け、鷲見部長は「皆さんの声をしっかりと受け止めました。確認し進めて参りたい」と返答した。
日本版ACIP設立を
男子へのHPVワクチン定期接種化を訴える石渡氏
続いて、同省記者室に移動し記者会見に臨んだ。会見で、日本産婦人科医会会長の石渡勇氏は、厚労省に対する要請を説明したうえで、「子宮頸がんはワクチンで排除できます。HPVワクチンの接種と子宮頸がん検診が重要です。海外では男性接種が進み、例えばオーストラリア、カナダ、アメリカ、イギリスでは80%以上で、子宮頸がんが減少している状況です。残念ながら日本は40%程度で、男性接種は定期接種になっていません。早期に定期接種化するよう要望し続けていく」とした。また、子ども支援ネットワーク代表で医師の細部千晴氏が、情報格差、地域格差、経済格差、施設間格差をなくし、日本版ACIP設立を訴えた。



















