政府が推進するマイナンバー(個人番号)制度。保険証との一体化、医療機関でのオンライン資格確認導入等、医療現場を巻き込む政策が進められている。しかし、院内でのカード紛失や番号漏洩など患者や医療者の不安は払拭されていない。
協会では、これまでオンライン資格確認導入や補助金について問題点を指摘してきたが、3月のオンライン資格確認運用開始にあたり、改めて会員に注意点を周知したい。
ポスターの活用を
3月からマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようになります。しかし、患者さんにも医療機関にもメリットはなく、むしろ番号漏洩やカード紛失のきっかけになってしまうリスクがあります。千葉県保険医新聞2021年2月25日号の折込みポスターを掲示していただき、患者さんには「これまでどおり保険証で受診できます」とご案内ください。
義務ではない
現在、国はマイナンバーカードを保険証として利用するために必要な「顔認証付きカードリーダー」の無償提供などを案内していますが、これに対応するかどうかは、医療機関が判断できることです。導入は義務ではありません。
カードリーダー設置でも保険証で受診を
既に「カードリーダー」を設置したり、設置申請をしていても、これまでどおり保険証で受診できます。折込みポスターを提示し、患者さんにご案内してください。ただしカードリーダーを隠したり、「マイナンバーは使えません」と掲示することはできません。患者さんがマイナンバーのみを持参して受診を求めた場合は拒否できません。その際は「次回は保険証をお持ちください」とご案内ください。
マイナンバーカード取り扱いは避けるべき
医療機関でマイナンバーを取り扱うことは避けるべきです。例えば顔認証がうまくいかなかった場合はカード発行時に登録した4ケタの暗証番号の打ち込み、職員によるカードの顔写真とのカードの目視での確認が必要です。
患者さんの中には電子機器に不慣れな人も多く、職員が使用の補佐をするためにマイナンバーカードを手に取るなどの対応が求められます。番号の漏洩(どこで漏れたか不明の場合の疑いも含む)、カードの紛失などに医療機関が関わってしまうリスクがあります。