千葉県保険医協会

千葉県保険医新聞

2024年9月15日号(802号)【記者会見】24年5月以降の調査結果公表記事一覧に戻る

マイナ保険証(オン資)に関連した医療機関の現状報告、トラブルの具体例をふまえて紹介する宇佐美、武田、野崎各副会⻑(左から)=9月5日・千葉県庁

7割でオン資トラブル

協会は9月5日、県庁記者室で会⻑を開いた。記者会見では、8月に実施した会員FAXアンケート「24年5月以降のマイナ保険証 オン資トラブル調査」の集計結果と分析評価を説明した。
会見には、協会から宇佐美宏事務局⻑、事務局が出席。各役員からは医療機関の現状、実態、協会寄せられた事例などを報告した。報道機関から、東京、朝日、読売、共同通信、千葉日報、千葉テレビの6社が出席。翌日には、東京新聞が千葉版で、日刊ゲンダイ、関西テレビが関連記事としてネットニュースで報じた。

 

 

「保険証残す・延期すべき」が9割超

政府は、今年5月から7月まで「マイナ保険証利用促進集中取組月間」と定め、12月2日に健康保険証を廃⽌(新規発⾏終了)すること、「医療機関の受診はマイナ保険証で」とアピールし、マイナンバーカードの利用、マイナ保険証への切り換えを促すため、広報に⼒を⼊れてきた。そのため、市町村国保や後期高齢者広域連合が7月に最後の保険証を送付した際に「今回お⼿元に届いた保険証は令和7年7⽉31⽇まで有効です」という案内をしているものの有効期間の情報が適切に届かなかったり、今後「資格確認書」「資格情報のお知らせ等」が発行される等が周知されているとは言い難い状況だ。

混乱回避に約6割が「保険証」で確認

会見冒頭、協会事務局から、調査は8月9日から23日までの期間に届いた646件(回収率16.3%)について、今年5月以降のマイナ保険証(オンライン資格確認システム・以下、オン資)のトラブル・不具合事例、「マイナ保険証利用促進集中取組月間」で患者とのトラブル事例、健康保険証廃止に関する捉え方を調査するため12項目をチェック式、記述式で回答を求めたと紹介した。

5月以降のマイナ保険証(オン資)のトラブル・不具合について、「あった」が439件(68.0%)であり、前回調査(23年12月、24年1月が対象期間)は53.6%であったと紹介。マイナ保険証の利用率が微増(厚労省の公表で4月6.56%、7月が11.13%)にも関わらず医療機関でのトラブル体験が前回調査比で、14.4ポイント増であるとしたうえで「昨年12月に政府がトラブル再発防止策を示したがうまく機能していない、現場に浸透していない。この状況のままマイナ保険証利用者数が増えれば、医療機関窓口が大混乱する」と指摘した。

 

マイナ保険証利用促進による患者とのトラブルについて、「あった」が58件(9.0%)、「なかった」が437件(67.6%)、「協力していない」が127件(19.7%)の回答であった。トラブルの具体的内容では「プライバシーの問題と不審感をもたれる」、「薬局でマイナ保険証でないと薬を出してもらえないと言われたと相談を受けた」、「高齢者につきっきりで説明することが増えた」など様々寄せられた。

12月2日の保険証廃止に関する意識調査では、「賛成」41件(6.5%)、「延⻑すべき」75件(11.9%)、「保険証は残すべき」512件(81.5%)であり、9割を超える回答が12月2日の廃止に異を唱えている。

会見後、協会は調査結果をもとに、熊谷俊⼈県知事に宛て「意⾒書」を提出した。

 

熊谷知事へ要請

【国へ保険証存続・廃止の延長を】県民の誤解をなくす周知徹底へ

現行の健康保険証の新規発行停止が12月2日に迫る中、協会は5月以降のマイナ保険証のトラブルについて実態調査を行った。会員へのアンケート調査では未だに会員の約7割からマイナ保険証による資格確認ができない等のトラブルがあったと回答があり、その際、約6割で手元にあった健康保険証に資格確認を行うことによりトラブルを回避したことが明らかとなった。

また、会員からの協会への問合せにおいて、患者から12月2日以降「健康保険証がなくなってしまう」と誤解し、窓口に相談してくる事例も多く報告されている。現行の健康保険証は有効期限内は使用が可能である。

今年12月以降に順次、健康保険証の新規発行が廃止された後に、マイナ保険証を所持していない場合には「資格確認書」が自動発行される予定であることを知らせていなく、まるで「マイナ保険証」を取得しなくてはいけないかのような周知に映っている。一方、マイナ保険証を所持している場合には「資格情報のお知らせ」が発行され、保険証の廃止後にはマイナ保険証と2枚持ちが課されていることも説明されていない。

県主導で説明責任の役割発揮を

そこで協会は記者会見後、熊谷俊人千葉県知事に対し、「健康保険証の存続および廃止の延⻑を国へ上申してください」県民への健康保険証廃止(資格確認書発⾏)に関する周知徹底の要望緊急に要望をまとめ提出した。要望書では患者や被保険者に対する保険証に関する説明は、本来、保険者と管轄する行政が担うべきものであり、保険証の廃止期限が目前に迫りながら、現状では説明責任が全うされていないことを指摘。5項目にわたり要請した。

 

要請項目

  1. 健康保険証の新規発行を2024年12月に停止することなく、健康保険証を存続させるか、もしくはとりあえず延⻑させるよう、国に対して上申してください。

  2. 県内54自治体の国保に対して、8月に発行されている健康保険証は2025年7月31日まで有効であることを各加入者に周知徹底してください。

  3. 来年2024年7月末で有効期限が切れたあとは、マイナ保険証を取得していない方には、当面の間、各自治体から健康保険証と同様の「資格確認書」が発行されることを周知徹底し、住民の不安を払拭してください。

  4. 各自治体における資格確認書の発行作業について、マイナ保険証の所持の有無によって発行の判断を行う方法では、マイナ保険証の所持データを発行システムに反映させる際にタイムラグが生じる場合や、加入者がマイナ保険証を所持していることを失念している場合もあり、トラブル発生の懸念があります。今年度から来年度にかけて、廃止後の当面においては、資格確認書を全ての被保険者に送達するよう方針を千葉県として全自治体が被保険者全員に送達するようにしてください。

  5. マイナ保険証を保有している方のうち、保有手続の際「受診時には健康保険証を利用」を想定していたものと思われますが、トラブルが収束していない現状や高齢者などがマイナ保険証の利用が厳しく、窓口で困惑されている事例がみられます。各自治体の国保に対し、マイナ保険証の利用「解除」が10月より可能であることと合わせて、周知してください。

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