【厚労大臣要請】ワクチン不足への対策求める
風しん・HPVの周知加速せよ
ワクチンパレード実行委員会事務局・千葉県保険医協会はVPDを知って子どもを守ろうの会・菅谷明則理事長ら15団体・4個人の連名で10月10日に福岡資磨厚生労働大臣に対し「VPD(ワクチンで防げる病気)から守るための予防接種施策に関する要望書」を提出した。
また、大臣要請に先駆け、厚労省記者会において会見を開き、各団体から今の情勢を説明した。
冒頭、福岡大臣に対し参加団体を代表して日本産婦人科医会会長の石渡勇氏が次の4項目を要請した。
①おたふくかぜを早急に予防接種法のA類疾病に定めること。
②MRワクチン不足により第2期定期接種と風しん第5期定期接種が進んでいない。ワクチンの供給不足が改善するまでの間、第5期定期接種を延長すること。また対象者の抗体保有率を90%まで高めるために職域摂取を促進することや、第2期定期接種の就学時健診時に周知徹底すること。
③3年間限定のHPVワクチンのキャッチアップ接種について、未だに低い状況である。周知を加速させると共に、本来小学校6年生から高校1年生の5年間を定期の接種期間としていることに鑑み、あと2年間接種期間を延長すること。また男子を定期接種の対象とすること。
④ワクチンの有効性・安全性等の評価に関わるシステム構築を迅速に進めること。
日本に持ち込まれる危険性ワクチン接種で抗体保有あげる取組みを
その後、参加した患者会や市民団体から一言ずつ大臣へ要請した。風しんをなくそうの会の可児さんは「第5期定期接種が2月末で終了予定だが、MRワクチンが不足している。充足するまでの間は延長し、風しん排除に向けて抗体価保有率を90%となるまでしっかり取り組んで欲しい」と訴えた。ポリオの会の斉藤さんは「現在パレスチナのガザ地区でポリオが発生しており、日本への持ち込みや感染拡大が懸念される。抗体をあげるために任意接種である学齢期の5回目接種の定期化を要請した。福岡厚生労働大臣は、各疾患を予防するワクチンへの要望についてしっかり担当部局で対応していきたいとし、特に自身が2013年のHPVワクチンの差し控えを行った時に自民党の厚生労働部会長であった情勢を話され、「2022年にHPVワクチンの接種勧奨再開をしたが、接種率の低迷が続いている。一度止めてしまうとなかなか接種率が上がらないことは課題である。接種を希望する方にワクチンが行き届くようにワクチンの供給を整え、関係機関と連携し、対象者への宣伝を加速したい」と述べた。
その他、HPVキャッチアップ接種の宣伝促進策や髄膜炎菌ワクチンの導入、予防接種安全性評価システムの構築と日本版ACIP設立など各団体から要望が出された。
千葉協会からは宇佐美宏副会長が原告弁護団へ謝辞を述べた後、「判決を待つ間、我々のエネルギーが冷めてはならない。運動を持続し最後まで戦い抜こう」と鼓舞した。
オン資格義務撤回訴訟は、23年2月22日に第一次提訴、同年4月21日に第一回口頭弁論が始まり、第二審判決は24年11月28日となった。喜田村洋一弁護団長は、「裁判長が11月28日に大法廷で判決を行うと決めたのは、我々の訴えを汲んでくれたもの。良い判決を確信しています」と総括した。
歯科医療費総枠拡大を共に
県歯科技工士会と意見交換
協会は千葉県歯科技工士会(高橋幹夫会長)と歯科技巧問題を中心に懇談=10月3日・協会会議室
歯科技工士会から高橋幹夫会長、加藤実副会長、大学泉専務理事、協会から宇佐美宏、野崎泰夫両副会長、石毛清雄理事、事務局が出席した。はじめに、宇佐美副会長が歯科医療情勢について、歯科診療所(個人立)の増減や歯科医師数の減少、無歯科医地区の増加、国民医療費に占める歯科医療費の割合、歯科診療報酬改定率などのデータを紹介しながら、「歯科医療機関数、歯科医師数が減少傾向にある。また、安全性、普及性ある歯科医療技術を保険収載せず、歯科保険治療の点数も何十年にもわたり据え置かれている。このため、歯科医療界は非常に逼迫した状況にある」と現状を分析した。歯科技工問題については、国の低医療費政策により、歯科技工士がしわ寄せを受けている。早急に待遇改善をはかるべきだ」とした。
続いて、事務局から9月実施の「2024年全国歯科技工所アンケート調査(千葉県版)」の中間集計を報告。歯科技工士の長時間労働、低賃金(収入)の実態が明らかとなり、技工所の経営改善のためには「技工物の最低価格保証制度の創設」、「7対3告示再徹底のルール作り、「補綴関連の診療報酬の増額」、「直接請求制度の創設」の順に意見が多かった、と説明した。
歯科技工問題は経済問題
歯科技工士会の高橋会長は、「歯科技工士の低い技工料金による離職、成り手不足は深刻だ。経済問題の解決以上のものはない」と指摘した。また、懇談では24年度診療報酬改定で変更された歯科技工連携加算、歯冠修復・欠損補綴の一部点数引き上げの評価等についても意見交換。「歯科技工問題は経済問題であるという認識で一致し、歯科医師・歯科技工士がともに口の健康を支えていくため、歯科技工物の保険点数の抜本的引き上げ、歯科医療費の総枠拡大が必要であると共通の認識とした。