千葉県保険医協会

千葉県保険医新聞

2025年3月1日号(812号)高額療養費制度「見直し」、「撤回」を/医科歯科連携2024記事一覧に戻る

《抗議声明》高額療養費制度「見直し」全世代に大打撃「撤回」を

現在、国会では2025年度予算の議論がすすめられている。
石破政権は、医療保険制度のうち、高額療養費の自己負担限度額について、すべての所得層で引き上げる方針を示し、国会外からも多くの批判を浴びた。特に、全国がん患者団体連合会(全がん連)が行った緊急反対署名は、5日間で7万3千人に達したと報じられ、衆院予算委員会では石破首相が「不安を払拭することも政府の務め」と発言するに至った。

協会は、国民皆保険制度の仕組みの根幹である高額療養費の医療費負担限度額引上げの撤回を求める抗議声明を発表した。以下、その概要を掲載する。

現役世代でも利用4割

患者が支払う医療費負担限度額(高額療養費制度)を今年8月から段階的に引き上げる「見直し」について、2025年政府予算案に盛り込まれ、国会での審議が行われている。

今回の負担限度額引き上げはすべての年代、すべての所得階層が対象とされており文字通り高額療養費制度を利用する1250万人全員に大打撃となる。その引き上げ額も70歳未満の現役世代の年収650万円から770万円の階層では、最終的に1.7倍(27年8月から)、5万円もの大幅な負担額だ。

21日の日経新聞では、医療費の1ヶ月あたりの患者負担に上限を設ける「高額療養費制度」の利用者を分析した東大の調査結果を示し、現役世代でも4割は長期治療の人であったと報じている。

高額療養費制度は、家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないよう、医療費の自己負担に一定の歯止めを設けるもので、特に長期療養する場合には、直近12ヶ月以内に3回で、自己負担の限度額に達した場合、4回目から限度額を下げる「多数回該当」という仕組みを導入し、万一の耐病でも安心して治療が継続できる命綱となっている。

全国保険医団体連合会が、子どもをもつがん患者の団体「キャンサーペアレンツ」有志と共同で行った調査では、半数が病気で収入が減る上に、治療(年50万〜100万円)がかかり、子育てにお金が4割と、現状でも家計は厳しい。これ以上、医療養の負担が増えれば、5割が「治療中断」、6割が「治療回数減」を考え、 「子どもの進路変更も検討しなければならない状況に追い込まれる」との回答も5割に及んだ。

高額療養費制度は、がん患者をはじめ重篤な患者にとってまさに命綱であり、 今回の制度「見直し」は、それを断ち切るに等しいものだ。
また、高額療養費制度を利用したことがない国民であっても、思いがけず大病を患い、 高額な医療費を負担する必要が生じることはどの世代にも起こり得るものだ。

厚労省は、今回の制度「見直し」を決定するにあたり制度利用者の収入減少、医療費支出、受診抑制を含む影響など、実態調査をまったく実施していない。

患者団体などの声に押されて、福岡厚労大臣は、21日の衆院予算委員会で、上限引き上げによって見込む医療費削減額のうち受診控えによるものが1950億円との試算を示したが、そもそも重篤な疾患で治療を継続している患者にさらなる負担を強いて、財源を捻出するという手法そのものが社会保障の概念と相いれないものである。

全世代に打撃となる高額療養費制度の「見直し」は直ちに撤回すべきだ。

《医科歯科連携2024》糖尿病・歯周病治療

他職種共同で質の向上へ

2月2日に東京保険医協会セミナールームで東京・東京歯科・千葉協会3協会主催で 「糖尿病診療・歯周病対策の最前線」をメインテーマに医科歯科連携研究会2024を開き、 医師、歯科医師、コメディカル・コデンタルなどWeb視聴含め113人が参加、千葉からは11人が参加した。

栗林伸一氏
山本龍生氏

講師は、医師の栗林伸一氏(三咲内科クリニック理事長)が「糖尿病診療の現状と対策 〜治療薬の画期的進歩と咀嚼機能維持を踏まえて〜」と題し、糖尿病の治療戦略と低血糖防止の重要性、糖尿病治療薬の種類と使い方、院内での歯周病への取り組みと栄養相談の概要、診療報酬改定による影響などを解説。
歯科医師の山本龍生氏(神奈川歯科大学歯学部社会歯科学系社会歯科学講座「口腔衛生学分野教授」)が「歯周病対策の最前線〜予防の重要性と糖尿病を踏まえた医科歯科連携〜」と題し、歯周病の定義、歯周病と糖尿病の関係、今後の医科歯科連携に向けた取り組みを紹介。両講師から医科歯科連携の成果が報告された

医科から歯科へ 積極的に紹介を

栗林氏は、血糖・血圧・脂質代謝の良好なコントロール状態と適正体重の維持および禁煙の順守が糖尿病治療の目標とし、治療によって「高齢化などで増加するサルコペニアやフレイル、認知症等の依存症の予防管理にもつながる」と述べた。

院内で行う栄養相談の経験を織り交ぜ、「糖尿病診療の質の向上にはスタッフとの共同が不可欠」と強調した。

今次診療報酬改定で内科系医療機関に大きな影響を与えた「生活習慣病管理料(Ⅱ)」については、 ① 主病名を一つだけ切り出すことの難しさ、 ② 療養計画書の作成や患者の同意が必要な上にプロセスが煩雑のため医療機関にとって負担が大きいこと、③ 仕事量が増大する一方、診療報酬の財源が減額され、各医療機関で新規雇用、DX導入の設備投資費用が確保できないこと、等問題点を指摘した。

「歯周病・糖尿病医科歯科連携手帳」の記入方法等についてアドバイスし、 医科から歯科医院への紹介状を積極的に行うことを薦め、 「糖尿病治療は歯科介入も含む統括的管理が必須である」と締めくくった。

糖尿病患者への歯周治療は奏功

山本氏は、歯周病の原因や症状および進行度を説明、リスク因子についてもデータを示しながら解説していった。
歯肉炎の原因は、歯垢であるとし、神奈川歯科大学で行った多くの実験結果を紹介しながら、 つまようじ法を用いたブラッシグが非常に有効であると述べた。

また、日本歯周病学会の「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン改訂第3版(2023)」に 記載されているように、糖尿病患者では歯周病の発生頻度が増加し、歯周病が悪化することがわかっており、 双方の治療には、医科と歯科の医療従事者の協力が不可欠であり、 医科歯科連携の重要性を改めて強調した。

神奈川歯科大学で行っている歯周病スクリーニング問診票や唾液による歯周病リスク判定について、問診票の項目や唾液検査用試験紙や検査の仕方について紹介した。

ご子息やお知り合いの先生をご紹介ください

保険医協会は、県内開業保険医の診療と経営に役立つ様々な世話役事業をしています。また生活全般を支える「保険医年」、「保険医休業保障共済保険」、「グループ生命保険」といった各種共済制度も取り揃えています。つきましては、会員の皆様にご子息・ご息女、お知り合いの先生がおられましたら、ぜひ保険医協 会への入会をお勧めください。

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