千葉県保険医協会

千葉県保険医新聞

2025年10月15日号(825号)風しん対策の成果、皮膚科領域疾患の医科歯科連携 他記事一覧に戻る

「風疹をなくそうの会 hand in hand」(可児佳代共同代表・中央)は粘り強い活動で風しん排除を訴えてきた。

風しん対策の成果実る、WHOが排除認定

25年9月26日、世界保健機構(WHO)西太平洋地域事務局は、日本における風しん(Rubella)の排除を公式認定した。国内では20年3月を最後に土着のウイルスによる感染例は確認されておらず、土着株による感染の広がりが3年間確認されないことなどとする事務局の認定基準を満たし、国際的な公衆衛生の大きな節目を迎えた。

 

風しんは、発熱や発疹を特徴とするウイルス性疾患で、特に妊娠初期の女性が感染すると、胎児に先天性風しん症候群(CRS)を引き起こす可能性があるため、長年にわたって公衆衛生上の課題とされてきた。

 

特に12年から13年にかけて日本では風しんの大流行が発生し、CRSと診断された子どもが45名報告され、大きな社会問題として取り上げられた。

 

これを受けて、CRS児を抱える家族や医療関係者らが中心となり「風疹をなくそうの会hand in hand」(共同代表:可児佳代、西村麻依子)が結成され、風しんの予防接種の重要性を訴える活動が全国的に展開された。

 

協会は発足当初からこの患者会の粘り強い活動を積極的に支援し、風しん排除に向けた啓発に取り組んできた。
18年には風しんのワクチン接種をする機会がなかった男性を対象とした風しん第5期定期接種が創設され、風しん抗体検査の無料化や、抗体価が低い成人男性へのワクチン接種の推奨を通じて、国民の風しん予防を推進した。

 

■感染症対策が着実に前進へ

WHOの認定は、過去3年以上にわたり、国内で風しんウイルスの持続的な感染伝播が確認されなかったことや、全国的な監視体制・検査体制が整っていることなどが評価された結果となった。

 

さらに今回の発表では、日本のほかにも太平洋諸島地域の複数の国々・地域でも麻しん及び風しんの排除が認定され、地域全体の感染症対策が着実に前進している。

 

この成果は、患者会の皆さんの息の長い活動により、国民一人ひとりが予防接種の重要性を理解し、行動した結果とも言える。
今後も、海外からのウイルス流入を防ぐために高いワクチン接種率の維持と早期発見・対応体制の強化が求められる。

 


【船橋支部】皮膚科領域疾患の医科歯科連携とは

掌蹠膿疱症診療と歯科

医科歯科連携の重要性を説明する河野氏=9月 20 日・船橋市勤労市民センター9月20日、船橋支部は第43回支部総会・記念講演を船橋市勤労市民センターで開いた。当日は支部総会・記念講演あわせて64人が参加した。

 

支部総会では、24年度の活動経過と会計報告、25年度活動方針案を提案。25年度も①会員に密着した諸活動、②保険医の地域における役割を強める活動、③会員拡大の推進・支部役員の増員、④医科歯科連携の推進、の4点を柱に活動することを承認した。

 

記念講演は、東京歯科大学市川総合病院皮膚科・客員教授で、かまがや河野皮膚科院長の河野通良氏を講師に迎え、「皮膚科領域疾患の診療、研究における医科歯科連携の重要性」をテーマに行った。

 

河野氏は、皮膚科医として口腔粘膜外来で歯科と一緒に診療や研究を行っており、疾患ごとに研究データや最新の知見を示しつつ、医科歯科連携の重要性を解説していった。

 

口腔扁平苔癬は、客観的な評価指標によって評価することの重要性と、金属除去が特に有効と考えられる事例を解説。
水疱症については口腔衛生環境の改善が水疱症の病態スコアを良くすること、肉芽腫性口唇炎も薬物療法なしで歯科の病巣感染を治療すると良くなることを、データやその機序を示しながら解説した。

 

その後、河野氏は掌蹠膿疱症診療について、歯性感染治療の重要性を基礎研究のエビデンスとして出すためにマイクロバイオームや口腔内のサイトカインの変化についての研究を重ね、医科歯科連携における診療指針作成を進めてきたことを説明した。

 

「多くの患者がたらいまわしにされ、高いお金を取られてノンメタルにする、漢方を飲まされる、最終的に骨関節症状が起きて動けなくなるということが起きています。

 

それを回避するために一番大事なのは歯科の先生との連携です」と、治療のメインプレイヤーとなる歯科医師の協力が必要不可欠だと訴えた。

 


言葉が自分を育てる

接遇マナー通し、職場雰囲気づくりに

 

9月25日、協会は千葉県文化会館・小ホールで接遇講習会を開催した。

 

「安心感を与え、信頼される接遇マナー〜プロフェッショナルの習慣〜」をテーマに、マナーセンス代表の湯佐弘子氏が講師を務めた。医師、歯科医師をはじめ、日ごろ医療に従事している医療関係者128人が参加した。

 

湯佐氏は「安心感を与え、信頼される接客マナーを磨くためには8つの力が必要」とし、図のような接遇マナーを紹介し、今回の講習会では特に「①心の状態管理」について大きく取り上げ解説した。

 

同氏は、2023年にWBC決勝戦前に大谷翔平選手が仲間を鼓舞するシーンを例に、有名なスポーツ選手も行っている、自分自身の意欲を引き出すペップトーク(ペップトークのPepは英語で「元気、活気、勇気」という意味)を紹介。肯定形な言葉で相手にしてほしいことを伝えることで、相手も前向きに捉えることができ、職場の雰囲気づくりに役立つとアドバイス。また、「自分に最も影響を及ぼすのは自分が使う言葉です。人間は自動思考で悪い自己暗示をかけがちです。言葉が自分を育て、人生を創造します。セルフペップトークを行い、理想の自分を育てていきましょう」と呼びかけた。

 

その他、正しい日本について穴埋め形式になった練習問題を周りの参加者と話し合いながら回答を導き出したり、過剰な敬語・二重敬語・間違って使いがちになっている言い回しを見直し、参加者全員で音読練習を行う場面もあった。

 

参加者からは「仕事だけではなく私生活にも取り入れられる内容でとても勉強になった。明日からすぐ実践したい」「改めて言葉を意識的に使い、明るい表情で相手のためにも自分のためにもなるように心がけたい」といった感想が多数寄せられた。

 

初級医療事務講習会、レセプト作成等学ぶ

協会は9月17日、協会会議室で40回目となる初級医療事務講習会をWeb併用で開講。講師は株式会社ソラストの内藤麻紀氏が担当し、14人が参加した。この講習会は9月から12月までの全17回の講義を通し、診療録から手書きのレセプトを作成する請求事務の基本的な技能習得をめざす。

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