一般社団法人 千葉県保険医協会
会長 岡野 久
医科保険部長 武田 浩一
5月29日、参議院本会議において「健康保険法等の一部を改正する法律案」が採択された。当会は本会議採択に抗議するとともに当該法律の廃止を強く求める。
健康保険法解釈で対象を「薬剤に限定」
今回参議院の審議では、「一部保険外療養」の適用対象が、薬剤に限定されるか薬剤以外の療養の給付全体に拡大されるかの法解釈が焦点となった。当初政府・厚労省は、5月21日、「法案第63条第2項第6号の規定は薬剤以外の『その他の療養』との文言だけで解釈すれば薬剤に限定されていない」旨を答弁したが、5月28日の厚労委員会において小西洋之参議院議員は保険局長に対し、一部保険外療養の規定ぶりについては、これまでの部会での議論の経緯、その状況も含めた立法目的・立法事実、同号の前段が「代替性が特に高い薬剤を用いた療養」と記載されていることを踏まえれば、政府が自由に法律の解釈を変更することができるという性質のものではなく、当該規定の趣旨としては、法63条第1項2号に規定する「薬剤」のみにしたものとの解釈であると指摘。
これに対し、政府・厚労省はその立法事実を説明できず、5月28日の審議で「薬剤のみを対象としたもの」と法解釈を修正した。何とか法解釈は修正したが本文の修正は行われず、今後拡大できる余地を残した。
「国民皆保険制度」の理念から大きく逸脱
今回の改悪により、2027年3月から77成分1100品目の医療用医薬品の薬剤の25%が保険対象外となり、患者は自己負担が求められる。審議では追加負担を徴収しない配慮対象の類型が示されたが、配慮されない患者は医師が診断・処方した医薬品ですら全額保険給付されないことになる。
そもそも社会保障制度は、憲法25条、第13条の規定の趣旨を実現するために、様々な制度全体として国民の生活を支えるものである。その上で、我が国の「国民皆保険制度」は、誰もが直面し得る疾病等のリスクを国民全体で分かち合うことにより、全ての国民が権利として「療養の給付」を受けられるものである。必要な医療は保険で給付することを前提としてきた「国民皆保険制度」の理念から大きく逸脱するものである。
当会は今回の法案本会議採択に強く抗議し、国民の意見や実態調査を行うなど、慎重に審議が必要で、当該法律の廃止を強く求めるものである。
以上



















