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「GX脱炭素電源法(束ね法案)」の強行可決に抗議する

2023.11.07千葉県保険医協会

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2023年6月15日

 

「GX脱炭素電源法(束ね法案)」の強行可決に抗議する

 

千葉県保険医協会

会長 岡野久

 

 5月31日、60年を超える原発の運転期間延長を認めることなどを内容とする「GX脱炭素電源法案」(原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法、再処理法・再エネ特措法改定案の5つの束ね法案)が、可決・成立した。

 同法によって、これまで「原則40年、最長60年」とされた原発運転期間の制限を、運転停止期間等を60年に上乗せして運転できることとし事実上廃止、経年劣化している原子炉の長期運転が可能になった。また、その運転期間の制限条項をこれまでの「原子炉等規制法」から「電気事業法」に移管された。

 2011年の未曽有の福島第一原発事故は、原子力発電所の安全神話が根底から崩れた。そのため政府は、「東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、原子力規制行政に対する信頼の確保に向けた取組を継続的に行っていく」「原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入などにより、可能な限り低減させる」として、原子力規制行政の見直しや、原子力によらないエネルギー政策の構築を掲げてきたはずである。今回の改正法は、福島第一原発の教訓を踏みにじり、原子力発電事業推進への回帰という大きな転換がみられ、見過ごすことができない内容となっている。

 加えて、原子力基本法に「国は、エネルギーとしての原子力利用に当たっては、原子力発電を電源の選択肢の一つとして活用することによる電気の安定供給の確保、我が国における脱炭素社会の実現に向けた発電事業における非化石エネルギー源の利用の促進及びエネルギーの供給に係る自律性の向上に資することができるよう、必要な措置を講ずる責務を有する」と規定され、原発活用によって電力安定供給や脱炭素社会を実現することが「国の責務」と明記された。今日「国の責務」と言うのであれば、既存の原子力発電所の徹底した規制と安全性確保、再生可能エネルギーを主体としたエネルギー政策の転換こそが、「国の責務」ではないだろうか。

 この他にも、高レベル放射性廃棄物の最終処分方法が未確立の上、その保管・貯蔵量が限界に達しようとする中、今後の方向性が示されていないことや、福島第一原発の廃炉への方向性も見えず、被災者・避難者への補償が不十分なままであることなどを指摘せざるを得ない。

 我々は、政府に対して、福島第一原発事故によって得られた教訓に立ち返り、本改正法を廃止し、脱原子力発電、再生可能エネルギーへの転換を図ることを求めるものである。また、いのちと健康を守る医師・歯科医師として、広範な国民との協力・共同の力で、政府のエネルギー政策の転換をめざし運動していくことを表明する。

以上

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