厚生労働大臣 福岡 資麿 殿
●抑制ありきの低医療費政策の転換を強く求める
2024 年度診療報酬改定は医療サービスの質の向上や医学的根拠よりも、財務省の意向で医療費抑
制政策が優先された大変不合理なものであった。改定率は本体+0.88%のうち使途の限定されない
財源は+0.18%に限られた上、後に述べる3疾患に対する医学管理料の適正化等で-0.25%とされ
てしまった。
また投薬、検査等の広範な分野で汎用点数が引き下げられ、医科内科診療所を中心に
実質マイナス改定であった。診療報酬は言うまでもなく医療機関の経営原資のみならず、社会保障
として患者の受ける医療や介護の水準を決定付けるものである。低医療費政策は患者に低水準の医
療を押し付けることと同義である。
現場を無視した低医療費政策の即時転換を求める。
●諸物価高騰への対応と更なる賃上げのために基本診療料の大幅引き上げを求める
2024 年度診療報酬改定では「賃上げ」への対応として初・再診料等、入院基本料等の基本診療
料がわずかに引き上げになったが、そもそもこれまで医療機関の経営原資である基本診療料が低す
ぎたことが根本問題であり、「賃上げ」どころか今般の物価高騰への対応にも足りず医療現場は窮
状に喘いでいる。
諸物価高騰等への対応のため、一刻も早く基本診療料の大幅な引き上げを行い、
医療機関が安心して診療できる体制を構築することを求める。
●不合理極まりない高血圧、脂質異常症、糖尿病の生活習慣病管理料への強制誘導
2024 年度診療報酬改定で特定疾患療養管理料の対象から高血圧、脂質異常症、糖尿病の3疾病
が外れ、受け皿として生活習慣病管理料(Ⅱ)333 点が新設された。同管理料は外来管理加算や特
定疾患処方管理加算が包括されたため、特定疾患療養管理料算定と比較して保団連調査では月 1
回診療で▲13点、月2回診療の場合、▲340点の減額とされている。加えて処方箋料も8点引き下
げられ、内科系診療所経営に大打撃を与えている。
また、千葉県保険医協会が行ったアンケート調査でも、算定要件である患者の同意取得や療養計
画書の説明のため、改定前と比較して診療時間が増加しているにも関わらず、減収となったという
回答が多く寄せられた。アンケート調査では算定要件で診療時間が長くなりスタッフの負担が増え
たのに減収を強いられ困惑している医療機関の声が多く寄せられた。 医療現場に無用な混乱と負担
を持ち込んだ責任は重大と言わざるを得ない。
ただちに特定疾患療養管理料の対象から糖尿病、高血圧症、脂質異常症の3疾患を除外すること
を速やかに見直し、 さらに改定前同様に生活習慣病管理料と外来管理加算および特定疾患処方管理
加算の併算定を認めることを求める。
以上は改定内容の不合理の一部に過ぎないが、国は期中改定や柔軟な運用なども含め、速やかな
不合理是正を行うべきである。
以上